読書 「相談の森」

 今年最後の月に燃え殻さんの本が届き、読み終わったので感想を…。


 同じくネガティブ族として、何かに落ち込んで布団に横たわりながら読むときに、ちょうどいい重さと大きさの本です。そして今や無い本も多いスピンの存在 (萌)。あと、本文の紙の手触りがやさしく、辞書のようにただパラパラ触っていたいめくりごごちの良さ。見てください、この上から覗くと分かる繊細なカーブ! わたしの運転でいうと、積雪道路で轍を踏み外して石垣に車体横を擦ったあの道を (略)。本を手にするとき、重さや大きさや手触りは、わたしにとって大切な感覚だったんだなと思いました。

 イラストレーションもかわいく、カバーを外してもかわいい。それだけでもう買って良かったんじゃないかな、というくらいの質感に、本の作り手から筆者への愛を感じとりました。 (個人の感想です)

 そうです、内容の感想…。相談内容はさまざまですが、燃え殻さんがこの年齢だからこのように答えられるんだろうなという、味わいがありました。燃え殻さんが答えに苦労する相談もあり、なかには相談ではなく質問 (?)もあり。自分自身を一度、その相談の出来事のフィルターに通したような、そうは言っても人間ってさそんなに上等な生きものばかりじゃあないよね、というやさしさが感じられました。

 ふふっと笑ったり、ほろっと涙腺がゆるんだり、ああー分かるなぁとか読みながら。なかには、わたしにはまだ味わいきれないものもありました。それはきっと、わたしが人の持つグレーゾーンのなかに、苦手分野があるのではないか、ということを思いました。おそらく、グレーゾーンのグラデーションが、今のわたしにはまだ粗くしか描けないのかもしれないなぁと、年末に気が付きたくなかったことに気が付いたりもしました。

 また年齢を重ねて手に取ったら、違う感想が浮かぶかもなぁと思いながら、家の本棚に並べます。そしていつか、子どもが「なにこれ」と手に取ったりするのかなぁと思いながら、スピンを表紙の裏に挟んで。

読了

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(再掲)