私的偏愛絵本帳 (6/9更新)

薄れゆく絵本の記憶と記録 (はじまり)

 好きなものを不定期更新するのに適した話題はないかな、と考えていた。そうだ、絵本を紹介しよう、と思い付いたので、のんびりやってみる。

 まず、わたしは絵本というものが好きだ。面白いもの、難しいもの、よく分からないもの、ただ好きなもの、嫌いだけど気になるもの、悲しかったり嬉しかったりするもの、生きているもの、死んでしまうもの。難しく語ろうとすればいくらでもできることだが、子どもに伝えるための言葉を選び、削ぎ落とし、絵という強力な相棒とタッグを組んで作られた本たちが、わたしには愛おしい。大人になってからも本屋で手にして読んできたが、子どもが産まれてからは拍車が掛かった。子が赤ちゃんの頃は、母が絵本を毎月届けてくれるサービスを利用して、幼児になれば仕事の休みに図書館の絵本コーナーに一緒に通った。また、公立図書館で臨時職員として一年ほどはたらいたことがある。その時は、幼児の絵本読み聞かせを担当した。絵本を読むとき、集中した子どもたちの視線と興味は本の世界にあり、わたしは本に混ざって消え、また入り込めない子はあちこち歩き回ったり、自由で楽しい空間だった。
 前置きはそんなところにして、極私的に好きな絵本を無造作に紹介していく。わたしと絵本の記憶が薄れないうちに書き留め、それを眺めて自分で楽しみたい。

(リンク先はe-honになっています。なぜならばうちの町から本屋が消えそうだからです)

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1.「ウエズレーの国」(あすなろ書房)

〈ポール・フライシュマン/作 ケビン・ホークス/絵 千葉茂樹/訳〉

 夏休みの宿題に、自分が考えた "自分だけの文明" を作ろうとする男の子の話。そんな彼の背景にあるのは、友達がいないという現実。友達がいない、そんなことに悩むより、自分だけの文明を作ってしまおうとする主人公の発想が面白い。文明とはどういうものか、という好奇心と想像力、そして自分だけのものを創るという過程と熱量に魅了される。彼の国が生まれたとき、なぜか大人のわたしまで励まされてしまう、いま読み返したい本。

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2.「きんぎょが にげた」(福音館書店)

五味太郎/作〉

 五味太郎さんの絵本はたくさん読んできたけれど、これはいちばんに思い付く名作。金魚が水槽から逃げて日常の風景に隠れている、という場面が続く。小さな子にも分かりやすい「みっけ!」作品だし、金魚を含めた場面のデザインが視覚的にも楽しい。そして何より、金魚が水にとらわれずあちこち泳ぎ回るという妄想が広がって、自由でたまらない気持ちになる。

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3.「パンダ銭湯」(絵本館)

〈tupera tupera/作〉

 大好きな黒柳徹子さんが好きなパンダ、わたしも好きです。上野動物園ではじめてパンダを見たとき、やっぱスターは違うなと思った。彼はただ地面に座り、ボリボリと笹を食べていただけでしたが。あなたがパンダ好きなら迷わず推す本。tupera tuperaさんの絵本には、めくってみて分かる面白さが込められている。パンダしか入れない謎の銭湯。そこをヒトのわたしたちがのぞきこむからこそ楽しめるネタがあちこちに。絵のデザインがすっきりしてて好きです。この作家さんが好きな方には「しろくまのパンツ」もシンプルでおすすめ。ちなみにこの本は甥っ子に購入。

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4.「おばあちゃんの小さかったとき」(福音館書店)

〈おちとよこ/文 ながたはるみ/絵〉

「おじいちゃんの小さかったとき」(福音館書店)

〈塩野米松/文 松岡達英/絵〉

 この2冊は、わたしが幼いときよく読んだ絵本だ。セットで読むと面白い。その時のタイトルは「母さんの~」「父さんの~」だったのだが、時代とともにタイトルが世代交代していて驚いた。第二次大戦後しばらくした昭和の子どもたちの、日々の遊びや生活の風景が絵本におさめられている。どちらも絵が柔らかく、いきいきと子どもたちを描いているところが好き。当時の子どもが、モノの少ない中でどのように遊びを生み出していたかが興味をそそられる。それは創造と工夫に満ちていて、花で爪を染めるなど、眺めているだけでも楽しい本。

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5.「ノンタン おねしょでしょん」(偕成社)

キヨノサチコ/作絵〉

 ノンタンシリーズは何度も繰り返し読んだ。寝る前の子どものお気に入りのひとつで思い出深い。絵本のカバー裏扉に、作者のキヨノさんから、この本を読む大人に向けてのちょっとした言葉があって、わたしはそれを楽しみにしていた(今もあるのかな?)。キヨノさんが飛行機のパイロット免許を取得したのも、確かそこで知って、空を飛ぶなんて格好いいなぁ、と布団の中で想像したのを覚えている。子育ての中で神経質になってしまいそうなとき、ノンタンを読むと肩の力が抜けた。「おねしょでしょん」という言葉選びもリズム良く、ノンタンや仲間たちがおねしょを笑いに変えてくれる。子どもの失敗なんて当たり前、それを楽しくしちゃおう、という作者の朗らかさと優しさを感じる作品。

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6.「7日だけのローリー」(学研おはなし絵本)

片山健/作〉

 迷子の犬を飼いたい男の子とその家族の、犬をめぐる "7日間の約束" の物語。期間限定でうちの犬になった「ローリー」。はじめて犬の飼い主となった少年の心の動きが丁寧に描かれている。結末にも、少年の成長を感じられ、じんわりと温かな気持ちになる作品。片山さんの猫作品では「タンゲくん」も好き。子どもの頃、捨てられた猫や犬を拾った経験があるひとは結構いるんじゃないかなと思う。自分もそのくちで、すでに犬も猫も飼っていたけれど、通学路で捨てられた犬を見付けたと親に話したら反対され、断念したことがあった。また、飼って良いと許された子猫が、その夜に死んでしまい、姉妹で泣きながら庭に埋めた朝もあった。そして今、元保護猫であるうちの子は、炬燵でいびきをかいている。

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(リンクを貼りましたが、現在ご注文できません、とのこと。図書館ならあるかな)

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7.「フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし」(好学社)

レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳〉

 レオ・レオニという作家を知ったのは国語の教科書だった。スイミーは楽しいお話だ。それが、教科書に載ってしまうと、理由や意味を求められることがさみしかった。著者は物語をいろいろな角度から楽しんでもらいたいのではないか、と思う。「フレデリック」を読むとなおさら。夏の間、冬のために食糧やわらを集めてまわるねずみたち。その中で、フレデリックだけは、みんなとはちがう行動をしている。それは、冬に必要になるはずのものを、彼なりに集める行動だった。何を集めていたのか、それはぜひ、読んでもらいたいなぁ。役に立つ、ということは、さまざまな形があることを教えてもらった。谷川さんが訳していることもこの本を力強くしている。同じ作者の「あおくんときいろちゃん」は、グラフィックデザイナーでもある著者の、物語を色や形の表現で楽しむ、小さな画集のような名作です。

フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし / レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳 - オンライン書店 e-honフレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし - レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳 - 本の購入はオンライン書店e-howww.e-hon.ne.jp


あおくんときいろちゃん / レオ・レオーニ/作 藤田圭雄/訳 - オンライン書店 e-hon国際版絵本 - 2色の楽しい動きをする丸。大人も癒されます。www.e-hon.ne.jp

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8.「11ぴきのねこ ふくろのなか」(こぐま社)

馬場のぼる/作〉

 「11ぴきのねこ」シリーズはすべて読んだけれど、いちばん記憶に残っている物語はこれ。「いけません」といわれると、なぜやりたくなってしまうのだろう……。子どもの頃、そう言われて「がまん」を覚えたりもするのだが、大人になってみると、あれは大人の都合だな、ということも分かってくる。その「いけません」を、このねこたちはどんどんやってしまうのだ。愉快で壮快なのだが、次第にねこたちは窮地に追い込まれてしまう。それをまたユーモラスに乗り越えていく、なんとも頼もしい11ぴき。彼らの仲間になって、あちこち旅に出掛けたくなる一冊です。

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9.「ゆうかんなアイリーン」(セーラー出版)

〈ウィリアム・スタイグ/作 おがわえつこ/訳〉

 朝、カーテンを開けたら吹雪いており、この絵本を思い出した。主人公であるアイリーンは、仕立て屋の母親と暮らしている。お屋敷のお客様から頼まれたドレスが出来たとき、母が寝込んでしまう。このドレスを約束通り届けるため、アイリーンは吹雪の中へと踏み出していく。お屋敷から注文がくるほど、腕もたしかで、誠実に仕事をしてきただろう母親。愛するひとのために、という愛情だけでなく、その仕事への姿勢を見てきたから、アイリーンはこれだけの勇気を出せたんじゃないかなと思う。アイリーンが吹雪の中ひたむきに歩く姿は、見ているだけで胸が熱くなる。スタイグの絵で語る力。大人にもおすすめ。

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10.「リサとガスパールのであい」(ブロンズ新社)

〈アン・グットマン/文 ゲオルグ・ハレンスレーベン/絵 石津ちひろ/訳〉

 絵が好きな絵本がいくつかある。夫婦で絵本を作り、「ペネロペ」シリーズも手掛ける、ゲオルク・ハレンスレーベンの絵もそのひとつ。リサとガスパールは未知の生物だというが、パリで人間たちとかわりなく暮らしている。シリーズの入り口には、仲良しのふたりの、はじめての出会いを描いたこの本がおすすめ。ちなみに、ペネロペはコアラ。画家にはコアラがこんな風に見えるのかと感動した。色彩のあたたかさや色づかいを楽しめる絵本。

リサとガスパールのであい / アン・グットマン/ぶん ゲオルグ・ハレンスレーベン/え 石津ちひろ/やく - オンライン書店 e-honリサとガスパールのであい - アン・グットマン/ぶん ゲオルグ・ハレンスレーベン/え 石津ちひろ/やく - 本の購入はオンwww.e-hon.ne.jp

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11.「オニじゃないよおにぎりだよ」(えほんの杜)

〈シゲタサヤカ/作〉

 今日は節分…といえば鬼、と思い出した絵本。人間に怖がられていることを知らない鬼たちが主人公だ。人間が落としていったおにぎりを食べた鬼たちは、衝撃を受ける。こんなまずいおにぎりを食べているなんて…! 人間たちのためにおいしいおにぎりを作ることにするが、おにぎりを作って持っていっても、逃げられてしまう。そこから試行錯誤する鬼たちのポジティブシンキング、見習いたい。鬼は~外、と豆をまいたあとに、こんな鬼もどこかにいるのかもしれない、と想像がふくらむ一冊です。

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12.「おこだでませんように」(小学館)

〈くすのきしげのり/作 石井聖岳/絵〉

 一年生の "ぼく" が主人公。家でも学校でも怒られる "ぼく" は、きまりが悪いという表情をしているように見える。自分の本当の気持ちをうまく表せない "ぼく" に寄り添いながら物語は進む。七夕の短冊に書いた願いごと、そこに込められた思い。子どもが怒られているとき、すでに悪いことをしたと自覚している場合は多いと思う。その行動の裏にある心のうちを知ろうとすることは、怒ることより難しい…難しいですねぇ…。子どもが寝る前に絵本を読んでいた頃、この本は毎回わたしが泣いてしまい、子はポカンとしていた思い出。個人的に読み聞かせできませんの一冊。

おこだでませんように / くすのきしげのり/作 石井聖岳/絵 - オンライン書店 e-hon「ぼくは、いつでもおこられる。家でも学校でも…。休み時間に、友だちがなかまはずれにするからなぐったら、先生にしかられた」いwww.e-hon.ne.jp

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13.「だってだってのおばあさん」(フレーベル館)

佐野洋子/作〉

 もうすぐ誕生日を迎えるおばあさんは、98才。一軒家に猫と暮らしている。猫が魚釣りに誘っても、おばあさんの口ぐせは「だってわたしは98だもの」。おばあさんは、99才になる誕生日にケーキを焼いた。猫はろうそくを買いに行くけれど、あわてて途中で落としてしまい、残ったのはたったの5本。ケーキに5本のろうそくを立て、お祝いをしたとき、おばあさんのこころに変化が生まれる。そこからのおばあさんは、無邪気で可愛くて面白い。佐野洋子さんの作品は、「100万回生きたねこ」など、大人にも子どもにも通じる物語の力強さを感じる。そして猫が魅力的。

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14.「14ひきのあさごはん」(童心社)

〈いわむらかずお/作〉

 「14ひきのねずみ」シリーズはお気に入りの作品。豊かな自然とねずみの目線へ。寝る前の読み聞かせにぴったりだった。見開きで描かれるねずみの暮らす世界。いわむらかずおさんの精緻な絵は、ドローンのように俯瞰した場面も見入ってしまうのだが、クローズアップしたねずみの視点で描かれる場面は、一緒に行動しているような躍動感に満ちている。「14ひきのあさごはん」は、はじめの一冊としておすすめ。朝、いちばん早くに起きるのはおじいさん。そこから、次々に登場する家族たちの特徴が、朝の風景に散りばめられている。いったいどんなあさごはんができるのか、想像を膨らませながら、いただきますへ。季節とともに楽しめるシリーズです。

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15.「こぶたのブルトン なつはプール」(アリス館)

〈中川ひろたか/作 市居みか/絵〉

 自分がストーリーものが好きなので、ときどき意図してそうではないものを選んでいた。その中でも、この絵本は子どもにヒット。主人公はタイトルの通り、こぶたのブルトン。友だちはイタチのアンドレ。口癖が「だいじょうぶ だいじょうぶ」。それを聞いたブルトンが「アンドレはいつもそれだ」という。それを真似するのが親子内で流行った。もう一人(?)、ダルマのタカサキさんが出てくる。突然のダルマ…。四季に沿い4作ある。なぜ夏なのかというと、この絵本に出てくるプールがはちゃめちゃで楽しいので。あったら行きたい。まだ冬ですが、気分だけ。

こぶたのブルトン なつはプール / 中川ひろたか/作 市居みか/絵 - オンライン書店 e-hon本の購入はオンライン書店e-honで。書店受取なら完全送料無料でカード番号の入力も不要!お手軽なうえに、個別梱包で届くのでwww.e-hon.ne.jp

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16.「エディのごちそうづくり」(福音館書店)

〈サラ・ガーランド/作 まきふみえ/訳〉

 今日はおじいちゃんの誕生日。パーティーの準備を忘れていた!慌てて料理を準備している最中、お母さんにほかの用事が重なって…。しっかり者の兄エディと、お手伝いといたずらがかわいい妹リリー。ふたりは一緒に料理を作る。エディの動きを見ていると(下ごしらえの手順に調理器具の使い方など)、普段から料理を手伝っていることを想像する。だからだろうか、子どもたちにキッチンを任せられるお母さんのおおらかさ(ここで自分を省みるとウッ…となる)。料理の楽しさが伝わる絵本には、レシピ付き。「エディのやさいばたけ」もおすすめ。

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17.「いもうとのにゅういん」(福音館書店)

〈筒井頼子/作 林 明子/絵〉

 あさえには妹がいる。自分の大事にしている人形を、幼稚園に行っている間に勝手に遊んでしまう、そんな妹の幼く無邪気な様子がはじめのページで伝わる。その妹が急に病気になってしまう。いつもとちがい元気のない妹の姿。慌てて出ていくお母さん。そして入院することが決まり、お父さんとふたり、あさえはお母さんと妹のいない夜を過ごす。いつもいると思っていた。その不在から生まれる感情の動きが丁寧に描かれている。筒井頼子さんと林明子さんのタッグには、子どもの前向きな姿を描いた名作が多く、文も絵も色褪せない。

いもうとのにゅういん / 筒井頼子/さく 林明子/え - オンライン書店 e-honこどものとも傑作集 75 - 【1】よかった(^_^)  【2】女の子/妹/入院/家族/お見舞い/人形  【3】4才からwww.e-hon.ne.jp

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18.「くまのコールテンくん」(偕成社)

〈ドン=フリーマン/作 まつおかきょうこ/訳〉

 主人公はくまのぬいぐるみ。彼にはまだ持ち主がいないので、毎日デパートのおもちゃ売り場に並んでいる。ある日、彼を気に入った女の子があらわれるけれど、服のボタンがひとつ無くなっていたことで、買われることはなかった。その晩、彼は自分のボタンを探しに出掛けることにするが……。子どもとおもちゃの出会い、それをおもちゃからの目線で描くやさしい絵本。

くまのコールテンくん / ドン=フリーマン/さく まつおかきょうこ/やく - オンライン書店 e-honフリーマンの絵本 - 【1】よかった(^_^)【2】ぬいぐるみ/くま/デパ-ト/女の子/友だち/夜【3】3才【4】6分【5www.e-hon.ne.jp

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19.「がっこうだってどきどきしてる」(WAVE出版)

〈アダム・レックス/文 クリスチャン・ロビンソン/絵 なかがわちひろ/訳〉

 完成したばかりのレンガの建物は、自分が何のために作られたのかを知らない。建物としてどう生きたいかなんて選べずに、自分は学校なのだと分かってくる。大勢やってきた子どもたちは、好きだの嫌いだの、勝手に自分のことを言うし、タイトル通り、がっこうだってどきどきしてるのだ。擬人化の手法なんだけど、学校が何だかいいヤツなので応援したくなる、建物目線ですすむ物語。学校は、キミのことが好きなのかもしれないよ。ちょっと毛色の変わった、新一年生におすすめする本。

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20.「おおきなかぶ ロシアの昔話」(福音館書店)

〈A.トルストイ/再話 佐藤忠良/画 内田莉莎子/訳〉

 図書館で読み聞かせを担当するとき、とても頼りになり、わたしを安心させてくれた名作のひとつ。おそらく読み聞かせには、物語に入り込んでいくパターンと、物語の参加者として子どもにも加わってもらうパターンがある。これは後者としてすばらしい。タイトル通り、大きく育ちすぎたかぶを抜く話だ。読みはじめる前に、子どもたちと保護者の方にお願いをする。「このおおきなかぶは、なかなか抜けません。かぶを抜くとき、うんとこしょ、どっこいしょ、とみんなも一緒に声を出して、応援してください」そして、小さなお子さんは、親の膝の上に乗ってもらい、かぶを抜く動作を楽しんでもらう。みんなで声を出す一体感と、最後にかぶが抜ける爽快感。みじかい物語で、ここまで想定して書かれたのだろうか……昔話ってすごいな。

おおきなかぶ ロシアの昔話 / A.トルストイ/再話 内田莉莎子/訳 佐藤忠良/画 - オンライン書店 e-honこどものとも絵本 - 絵本の中の「うんとこしょ、どっこいしょ」のかけ声が印象的で、子どものころ、何度も何度も声を出して読みwww.e-hon.ne.jp

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21.「すてきな三にんぐみ」(偕成社)

〈トミー=アンゲラー/作 いまえよしとも/訳〉

 表紙のタイトルと迫力ある絵のギャップが目を惹く。タイトル文字も、フォントか手描きか分からない揺れぐあいが良い。配色のコントラストが絶妙で、夜の描き方が魅力的な名作。「あらわれでたのは」という書き出しで、どろぼうである三人組の物語に引き込まれる。三人の宝は他人から奪った金銀財宝。しかし、ある夜出会った女の子、ティファニーちゃんの問いかけで、物語は思わぬ方向へと舵を切る。彼らは大事な宝を使い、何を手に入れたのか……。ダークヒーローが出てくる作品を好きになったきっかけは、クリント・イーストウッドの映画作品と思っていたが、この絵本かもしれないと読み返して思う。絵画的に眺めても楽しく、大人にもおすすめ。

すてきな三にんぐみ / トミー=アンゲラー/さく いまえよしとも/やく - オンライン書店 e-hon世界の新しい絵本 - 宝集めに夢中だった三人組の大盗賊が、ひょんなことから全国の孤児を集め、お城をプレゼント。 ——子どもwww.e-hon.ne.jp

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